夕暮れが迫り、夕闇が辺りを包み込む中、空には黒い雲が不気味な渦を描き、覆いかぶさるように広がっていました。


虹は輝きを失い、まるで細い糸のように、今にも消え入りそうなほど儚く揺らめいています。


消えゆく虹を前に、子どもたちの焦燥感は募るばかりです。彼らは息を切らし、足を棒にしながらも、虹に向かって必死に走りました。


しかし、どれほど近づいても、虹は一向に近づいてきません。まるで嘲笑うかのように遠ざかっていきます。


「いったいぜんたいどうなってんだ!あの虹に近づけば近づくほど、どんどん離れていってるように感じる!このままじゃぁ虹が消えちまう!」


アルバートは叫びます。


「やっぱりダメだったか……。」


その時、ヨハンが言いました。


「虹っていうのは、太陽の光が空気中の水滴に反射して見える現象だよ。つまり、実際にはそこに存在しないんだ。だから、いくら近づこうとしても、永遠にたどり着くことはできない。」


「なんだって!?ということは魔女さんに騙されたってのか!?くそっ!あの魔女め!」


アルバートは地面を蹴りつけ、怒りをあらわにします。


子どもたちは怒りを燃やし、踵を返すと、一目散に魔女の家へと駆け戻っていきました。