アルバートは、アンナの悲しそうな顔を見て、いてもたってもいられなくなりました。拳を握りしめ、心の底から叫びます。


「僕が、アンナの願いを叶えてあげる!」


そう言うや否や、アルバートは一目散に病院を飛び出しました。自転車に飛び乗り、力いっぱいペダルを漕ぎます。息を切らし、汗だくになりながらも、彼は必死に走り続けました。


やがて、仲間たちのもとへ辿り着きます。


アルバートは、アンナが泣いていたこと、そして街の外れにある“決して入ってはいけない”魔女の森へ行く決意を話しました。当然、ドルジとヨハンは反対します。


「ダメだよ!そんな危ない森に僕たちだけで行くなんて!」


ドルジは顔を真っ青にして叫びました。


「だめだ、アルバート。それは無謀すぎる。まずは森の周辺を調査し、安全なルートを探すべきだ。そのために、外周を歩いて地形を把握し、危険な場所を地図に書き込もう。図書館で魔女の森に関する資料も調べておいたほうがいい。」


ヨハンはそう言いながら、リュックから水筒を取り出し、アルバートに手渡しました。


「まずは、落ち着いて話そう。」


しかし、アルバートはどうしても落ち着くことができませんでした。彼はアンナと出会ってからの出来事を詳しく語り、彼女の悲しみや願いを伝えました。


「アンナは、僕たちの知らない世界に閉じ込められているんだ。僕は、どうしてもアンナを助けたいんだ!」


アルバートの熱い思いに、ドルジとヨハンは言葉を失います。しばらくの沈黙の後、ドルジが口を開きました。


「……わかった!僕も行くよ!」


怯えながらも、彼の声には決意が込められていました。


「まったく、お前は……仕方がないな。協力しよう。」


ヨハンはやれやれと肩をすくめながらも、静かに、しかし力強く頷きます。


こうして、子どもたちだけの冒険が始まったのです。