2018年、歌い手・林健太郎とピアニスト・小室高志によって結成。

明治の人々が「洋琴」と呼んだ、海を渡ってきた西洋の楽器、ピアノ。この国の風土に根づき、暮らしの喜びも悲しみも歌い継いできた民謡。ふたつの音楽の流れをひとつに結び、新たな表現を追い求める音楽ユニット。

西洋音楽が長い歴史のなかで育んできた和声や構築美、クラシックの豊かな表現力。それに対し、日本の伝統音楽には、限られた音のなかに情感を宿し、音と音のあいだの間や余韻に美しさを見いだす独自の感性がある。

異なる文化が育んできた音の思想を重ね合わせ、日本のポップスが持つ親しみやすさにクラシックの奥深さを織り込むことで、どこか懐かしく、それでいて誰も聴いたことのない音楽世界を創り上げていく。

その創作の中心にあるのは、あらかじめ完成された正解をなぞることではなく、ジャム・セッションから生まれる即興の響き。その日の季節、場所、空気、そして互いの感情を音に映しながら、二人だからこそ生まれる瞬間を一つひとつ楽曲へと昇華させていく。無駄を削ぎ落としたシンプルな構成だからこそ、旋律の美しさや言葉の温度、そして音の向こう側にある人間の心が浮かび上がる。

二人の魅力は、音楽だけにとどまらない。ストリートライブでは、豊かな人生経験に裏打ちされた飾らない言葉と演奏で、道行く人々の日常にそっと寄り添い、ときに活力を、ときに癒やしを届けている。

音楽とは何か。自由とは何か。自分らしく生きるとは、どういうことなのか。ふたりの活動は、その問いを探る実験として、音楽の外へも広がり続けている。